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サーモグラフィでアルミを見ると…? 意外と知らないシリーズ4
こんにちは。常盤産業のブログ担当 田中です。
右の画像をご覧ください。
黒地に白く太い線がいくつも交差しているだけの画像ですが、なぜか縦の白線と横の白線が公差する部分にぼんやりと黒っぽいような灰色っぽいような丸が見えたり見えなかったりしませんか?
この画像自体には白線の公差部分には何も書かれていませんし、実は動画で動いているということもありません。
白線の公差部分に黒っぽい丸が見えたり見えなかったりするのは画像ではなく、私たちの目が勘違いを起こしている為起きている現象です。これは、「ハーマングリッド効果」と呼ばれるもので、なぜ目がこのような勘違いを起こすのかはまだはっきりと解明されていないそうですよ。
無いはずのものが見えてしまう、見えている景色と実際の景色が一致しない、なんて、なんだか不思議ですね。
実はサーモグラフィカメラでも実際の温度と画像上に表される計測結果とが全く一致しないケースがあります。
本日はサーモグラフィカメラで測定する時に起こりがちな、うまく計測が行えないケースをご紹介いたします。
まず、赤外線サーモグラフィカメラとは、物体から発せられる赤外線を測定して、そのものの表面温度を測定する測定器です。コロナ禍では街中にも人の表面温度を測る為のサーモグラフィカメラが沢山設置されていましたね。
サーモグラフィカメラは対象に触れずに表面温度を計測でき、またどこがあたたかいか冷たいか温度分布を計測できるなど、接触式の温度計とは違う便利さを持ちます。
しかし、サーモグラフィカメラではうまく温度測定できないものがいくつかあります。その一つが金属。
どれくらいうまく測定できないか、簡単な実験をしたのでご紹介します。
使用するのはこちら。ほかほかのお湯入りコップとアルミホイルです。
このままではお湯がほかほかかどうか分かりづらいのですが、サーモグラフィカメラで上から見てみるとこの通り。
紙コップの中のお湯は白~赤色で表示され、90℃を超えています。やけどするほどほっかほかですね。
その後、この紙コップにアルミホイルをかぶせ、少し待ってみました。熱伝導性の高いアルミホイルはすぐに温められ、指でアルミホイルに触れるとついつい「熱っ」と指を離してしまうくらい熱々です。
接触温度計で測ってみるとこの通り、84℃でした。しっかりあたためられていますね。
しかし、このアルミホイルをサーモグラフィカメラで見てみた結果がこちら。
とても見えづらいですが、背景の机と同じような真っ青や水色で表示され、20℃程度しかないと表示されています。私の体感とも接触温度計の結果ともかけ離れています。
なぜこんなに違ってしまったのでしょう?
それは、アルミがサーモグラフィカメラでとても測定しづらい物質だからです。アルミは私たちの目にもぴかぴか反射して見えますが、赤外線の世界でも同様に反射しています。アルミ自体の温度よりも、反射で映し出される周囲のものの温度が見えてしまっているのです。
イメージとしては鏡。鏡に映ったものの色は見えますが、鏡自体の色を見るのはなかなか難しいのではないでしょうか。
つまり、この20℃くらいの温度はアルミホイルの温度ではなく、アルミホイルに写り込んだ天井や壁、計測・撮影している私など、周囲にあるものの温度です。
このように、サーモグラフィカメラの使い方を誤ると全く信頼できない結果が出る可能性があります。
弊社では信頼のおける測定結果が出るよう、計測条件や環境整備も含めてご提案いたしますよ。
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