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2022.11.30 安全環境

試してみました!常盤の防音

こんにちは。常盤産業のブログ担当 田中です。

夏場のセミの音、大盛り上がりの宴席、パチンコ屋の店内、工事現場のドリル、踏切を通過する電車……大きな音の出るものって世の中にいろいろありますね。一方、弊社ではそんな大きい音の中でも「騒音」とされる音を低減させる、主に工場施設対象の防音対策の提案と工事を行っております。

今までも多くのお客様に防音施工をさせていただき、5000tプレスや立体駐車場のような大きなものから卓上試験機などの小さなものまで、また半ば振動のような低い音から人の耳に聞こえるかどうかの超高音まで様々な音を低減させてきました。

そこで本日は弊社で製作したデモ用防音BOXの中にスピーカーを入れて、どのように音が低減できるのか試してみました!

実験風景は右図です。
背景があまりきれいではない為、BOXの中ばかり写しております。デモ用のコンプレッサーも写り込んでいますが、今回の音源はその隣で3つの緑色の光を発しているYAMAHA製スピーカーでございます。

防音BOXの中にスピーカーを設置している様子

この防音BOX、内側に不燃吸音パネル「T-Mute」が使用されていて、両開きの扉の反対壁面には配線用にA4サイズほどの穴があけてあります。今回はこのBOX内にYAMAHA製スピーカーを設置し、扉をオープンにした状態とクローズした状態をそれぞれ30秒間、騒音計で計測していこうと思います。

尚、この日の暗騒音(音源から音を出さず、環境音のみを計測した数値)は40デシベル程。人のいない倉庫なのもあり、とても静かでした。(デシベルとは?数値の目安はこちら)

まずは17000Hzのモスキート音を再生してみました。結果は…

防音BOXの扉を開けてモスキート音を再生した場合は59.8デシベル
扉オープン時
防音BOXの扉を閉めてモスキート音を再生した場合は51.5デシベル
扉クローズ時

扉オープン時:59.8デシベル
扉クローズ時:51.5デシベル

8デシベル程下がっていますね。私の耳では、オープン時は耳障りでしたが、クローズ時は「ああ、鳴ってるなぁ」くらいに感じました。
騒音計画面横軸の周波数に注目すると特に高めの周波数帯の音がよくとれていることがわかります。

古めのベルトコンベアの音はどうでしょう。

防音BOXの扉を開けて古いベルトコンベアの音を再生した場合は80.8デシベル
扉オープン時
防音BOXの扉を閉めて古いベルトコンベアの音を再生した場合は63.1デシベル
扉クローズ時

扉オープン時:80.8デシベル
扉クローズ時:63.1デシベル

17デシベル下がりました。私の耳では、オープン時は人と話すのは難しそうでしたが、クローズ時は特に大きな声を出さずともおしゃべりできるくらいに感じました。
周波数を見ると、最も大きな数値を出している1000Hzあたりの音がすっかりカットされていますね。

次に200Hzのホワイトノイズを再生。結果は…

防音BOXの扉を開けてホワイトノイズを再生した場合は69.4デシベル
扉オープン時
防音BOXの扉を閉めてホワイトノイズを再生した場合は56.0デシベル
扉クローズ時

扉オープン時:69.4デシベル
扉クローズ時:56.0デシベル

13デシベルの低減です。私の耳では、オープン時もそこまで気に障る音ではありませんでしたが、クローズ時はむしろ作業がしやすそうな、ほどよいノイズに感じました。
周波数を見ると全体的に低減していますが、250Hz以下の低い音もしっかり抑えられているのがわかりますね。

逆に高い音として、古いコンピュータの発する電子音のノイズ風の音源です。

防音BOXの扉を開けて電子音のノイズ風音源を再生した場合は83.4デシベル
扉オープン時
防音BOXの扉を閉めて電子音のノイズ風音源を再生した場合は66.5デシベル
扉クローズ時

扉オープン時:83.4デシベル
扉クローズ時:66.5デシベル

17デシベルの低減です。この音が計測時、一番耳が辛かったです。周波数を見ていただくとわかる通り、1000~4000Hzの高い音がとんでもなく、30秒の計測中に若干鼓膜へのダメージを心配しました(大丈夫でした)。音源と耳の穴の向きがばっちり合うと脳みそに突き刺さる高音、この音の中で仕事していたら心身共にかなり大変そうです。なお、扉を閉めても音は聞こえましたが、耳を心配することはなく普通に過ごせる程度でした。

最後に大盛り上がりの居酒屋をイメージした音源を再生しました。がやがやと楽しそうな人の声が聞こえます。

防音BOXの扉を開けて居酒屋風音源を再生した場合は80.7デシベル
扉オープン時
防音BOXの扉を閉めて居酒屋風音源を再生した場合は61.1デシベル
扉クローズ時

扉オープン時:80.7デシベル
扉クローズ時:61.1デシベル

19デシベル低減です。250~1000Hzあたりの人の声やそれよりもう少し高い食器などの音がしっかり低減されています。私の耳では、オープン時はまさに大盛り上がりの宴会の隣席にいる気分、クローズ時はお店の隅にあるお手洗いに入ったくらいの気分でした。音が全くなくなるわけではありませんが、環境としては大違いです。

この通り、様々な音を再生してみましたが、この防音BOXは低い音から高い音まで低減できることがわかりました。また、同じデシベルの数値でも周波数帯によって感じ方が全く違うことも良くわかりました。人の声程度の音が中心の居酒屋音源はうるさく感じるだけでしたが、1000~4000Hzの音が中心の高音ノイズは少しだけ耳の危険を感じました

音の問題はデシベル数値のみでなく周波数や周囲の環境、個人の感情なども関わってくる複雑な問題です。それぞれの案件ごとに防音パネルの設計から対象物の囲い方まで工夫する必要があります。


「耳栓職場にはなっていないけどスタッフの健康が心配」「地域の騒音基準には達していないけどご近所から苦情が来た」などのお悩みをお持ちの方は、計測・シミュレーションから設計・施工、施工後の効果確認までご提案できる常盤産業へ一度ご相談ください。お待ちしております!