blog

ヒューム 知ってるつもりシリーズ5

ヒューム 知ってるつもりシリーズ5 | 技術解説

こんにちは。常盤産業のブログ担当 田中です。

業界や製品にまつわる専門用語っていろいろありますね。みんな当然知っているような雰囲気で使っていますが、「実はよく知らないけど今更誰にも聞けない」、「知ってるつもりだったけどよく考えるとあまりわかっていない…」ということ、あるのではないでしょうか。私はあります。

今回は「知ってるつもりシリーズ」第4弾として、ヒュームについてご紹介いたします。簡単な紹介となりますので、詳しく正確に知りたい方は書籍などでお調べください。

ヒューム。溶接現場などでよく聞かれる言葉です。哲学者の名前などと同じ音の為、「溶接ヒューム」や「金属ヒューム」と呼ばれることもあります。また、「フューム」と表記されることもあるみたいですよ。

ヒュームとは

ヒュームとは、アーク溶接をする時に溶接部から出てくるもやもやとした煙のようなもののことです。この煙、いったいなんなのでしょう?

その正体は……溶けて酸化した金属の粒子です!

そもそもアーク溶接とはアークという放電現象を利用して5000℃以上の高温を発生させ、金属を溶かしながら接合していく溶接方法です。

高温で溶けた金属は全てが冷え固まって溶接されるわけではなく、一部は蒸気となって空気中に漂います。その蒸気が空気中で固体の細かい粒子となったもの、それが「ヒューム」です。

集塵機で集められたヒューム

ヒュームの粒子の大きさは0.1~1μm(ミクロンメートル)。花粉の大きさが30μm、細菌が1μm、ウイルスが0.1μmと言えば、どれだけ細かい粒子かがわかりますね。

このヒューム、健康被害を引き起こすとされています。実際どのような危険があるものなのでしょうか。

ヒュームの危険

ヒュームを吸い込むことによって、じん肺神経障害を引き起こす可能性があります。

じん肺の初期症状はほとんどありませんが、病気が進むと息切れがでる、といった症状があらわれます。また、肺結核や気管支炎、気胸などの合併症にかかりやすくもなります。さらに、じん肺は一度なってしまうと仕事を辞めてヒュームを吸い込まなくなっても進行し、根本的な治療方法は現代においてもまだありません

神経障害はヒュームに含まれるマンガンが引き起こすとされており、倦怠感や記憶障害、不眠などの症状がみられます。さらに症状が進むと歩行障害や言語障害、軽度の知能低下などなど……。こちらも恐ろしい症状ですね。

また、ヒュームはd肺がんのリスクも高めます。

溶接作業者や付近で働く他の作業者を守る為にも、ヒュームによる健康被害を引き起こさない、ヒュームを吸い込ませない対策が必要ですね。

さて、常盤産業ではそんな危険な溶接ヒュームへの対策をご提案しております。

ニードル放電式電気集塵機はフィルタ式集塵機でも除去しきれない細かな粒子までしっかりとれ、火災リスクはほぼゼロ、メンテナンスも専門スタッフが行う為メンテナンス時の作業者への暴露も心配のない製品です。

ダクトアームによる局所集塵

詳しくはこちらの過去記事(【2021年4月規制強化!!】溶接ヒューム対策)をご覧ください。

ヒューム対策のお問合せやご質問は下記お問合せボタンから、お待ちしております。

この記事をシェアする

関連する記事を読む Related blog

サーモグラフィカメラで正確に測るために… | 技術解説

サーモグラフィカメラで正確に測るために…

こんにちは。常盤産業のブログ担当 上野です。サーモグラフィカメラってどんなものの熱でも測ることができる万能カメラだと思っている方も多いのではないでしょうか。実は、サーモグラフィカメラでも正確に測ることができないものがあります。測ったつもりでいる数値は、もしかしたら間違っているかも!?今回は、サーモグラフィカメラが測ることができないものと正確に測るためのポイントについてご紹介します。 サーモ…

赤外線サーモグラフィは</p>何を測っているのか | 技術解説

赤外線サーモグラフィは

何を測っているのか

こんにちは。常盤産業のブログ担当 上野です。 赤外線サーモグラフィって、随分身近なものになりましたね。コロナ禍時代から定着したお店や病院などの入り口に設置された検温器。ピッと数秒で皮膚表面の温度を測り体温を推定します。昔の水銀体温計(この体温計のことをご存じなのはミドル世代以降かもしれません)なら数分待たなくてはならなかったのに…不思議です。 赤外線サーモグラフィは、なぜ非接触で測ることが出来…

もしもサーモグラフィがなかったら… | 技術解説

もしもサーモグラフィがなかったら…

こんにちは。常盤産業のブログ担当 上野です。サーモグラフィの特長はなんといっても触れることなく温度を測れることです。さらには人の目ではなかなか見えない暗い場所や煙が充満しているような視界が悪い場所でも測定ができます。そんなサーモグラフィは製造業界や医療業界などでなくてはならない存在に。でももしサーモグラフィがなかったら…。私たちの暮らしはどう変わっていたのでしょうか。 サーモグラフィの誕生はいつ…

サーモグラフィ画像に隠されたたくさんの数字の秘密とは | 技術解説

サーモグラフィ画像に隠されたたくさんの数字の秘密とは

こんにちは。常盤産業のブログ担当 上野です。サーモグラフィの特長はなんといっても触れることなく温度を測ることができること。測ると色の違いで温度を教えてくれます。実は、画像のように見えていますが、実は大きな秘密が隠れている暗号だったのです。そんなサーモグラフィは今、あらゆる業界で活躍中です。なぜ、サーモグラフィが現場になくてはならないものなのか…。こんなサーモグラフィがあればよいのに…を製品化した最…

温度管理のエキスパート「サーモグラフィ」ならもう見逃しはない! | 技術解説

温度管理のエキスパート「サーモグラフィ」ならもう見逃しはない!

こんにちは。常盤産業のブログ担当 上野です。 コロナ流行の際にはすっかり生活の一部となった「体温測定」。皆さんはどうやって測っていますか? 皮膚に触れることなく「ピッ」と測っている方も多いですよね。 なぜ皮膚に触れることなく体温が測れるのか…実はこれ赤外線を利用しているからなのです。赤外線を利用する測定器のひとつにサーモグラフィがあります。 そもそもサーモグラフィって…

アクリル板越しにサーモグラフィカメラを使うと…?意外と知らないシリーズ | 技術解説

アクリル板越しにサーモグラフィカメラを使うと…?意外と知らないシリーズ

こんにちは。常盤産業のブログ担当 田中です。 こちらの画像をご覧ください。 左側の明るい大きなグレーの四角形の中にそれより暗いグレーの小さな四角形、右側の暗い大きなグレーの四角形の中にそれより明るいグレーの小さな四角形が描かれています。この小さな四角形二つ、どちらが暗い色に見えますか? 実は左右の小さな四角形はどちらも同じ色なのですが、周りを囲む大きな四角…

ロボットの可搬重量 意外と知らないシリーズ | 技術解説

ロボットの可搬重量 意外と知らないシリーズ

こんにちは。常盤産業のブログ担当 田中です。 人間ってどのくらい重たいものを持ち上げられるのでしょう?もちろん、どういう形状のものをどういう姿勢で、どの位置から、といった条件によって大きく変わってきますが、一つの例として、男子ベンチプレス(フルギア)の世界記録を確認してみましょう。 何kgくらいだと思いますか? なんと、2021年にアメリカのJimmy Kolb…

生産現場のロボットたちⅡ 意外と知らない!?シリーズ5 | 技術解説

生産現場のロボットたちⅡ 意外と知らない!?シリーズ5

こんにちは。常盤産業のブログ担当 田中です。 危険な仕事や大変な仕事、単純な仕事を人間の代わりにこなしてくれるロボットたち。メンテナンスは必要ですが、文句も言わず働いてくれる、大変頼れる存在ですよね。 飲食店ではロボットが料理を持ってきてくれたり、オフィスの床をロボットが掃除してくれたり。すっかり身近ですね。ちなみに我が家の床もロボットが掃き掃除から拭き掃除までやってくれて…